藤間新宮師



プロフィール

和歌山県新宮市出身
幼い頃より舞の名手といわれた藤間良輔師に師事し 
今日まで長年に亘って門弟の指導に当たっている   
新歌舞伎座 国立文楽劇場 中座などの舞台に出演
 松竹新喜劇公演や各新聞社主宰の舞踊会に多数出演
(社)日本舞踊協会会員 藤間流師範 「新宮の会」主宰


               「藤間新宮の会」定期公演   於 国立文楽劇場


    第十四回  「藤間新宮の会」   平成二十八年三月 
                         演目の一部を掲載致します
  

 長唄「助六」 藤間新宮師
吾妻八景八変化の一つ 出端を花道で
舞台ではかんぺら門兵衛と朝顔千平を相手に
所作タテとなる趣向ですが
今回は素踊として演じました



長唄「新曲浦島」藤間新左 義太夫「禿」小坂心桜
大海原から静寂な浜辺岩に砕ける荒波漁船の漁火
 網引く船頭 夕嵐の海の情景等を表現します
原の禿が妓楼の格子先で遊ぶ様を表し芝居でも舞踊会でも
朗らかであどけない 演出になっています


長唄「京の四季」 清水海緒 長唄「梅の栄」 鈴木洋子
春は桜を唄い夏夕涼み秋もみじ冬の雪見酒と
京都の風物を折込こんで京舞妓姿で踊ります
のどかな初春気分を詠じたもので歌詞も
お目出度づくめの数々で御祝儀物とされています


義太夫「丸にいの字」 成瀬美代子 大和楽「あやめ」 吉川規尹子
「道成寺道行」清姫が安珍を慕って道成寺までの道中の様を
舞踊化したものです
あやめ咲く池の辺八つ橋に傘をさした娘が恋心
物思いに沈む様など絵草子に見立ててあります


長唄「旅」藤間治宮 長唄「二人椀久」 藤間新左 藤間香志久
東海道中五十三次を旅にまとめ民謡や京の
景色など次々と調子変わりが楽しめます
傾城松山と馴染んだ椀屋久兵衛門が放蕩のはて発狂し松山の幻影と
楽しく踊り松山が消えたあと一人呆然となる哀愁を含んだ華麗な物語です


大和楽「江戸風流」 藤間日女 長唄「静と知盛」 藤間紀良
不忍池吉原両国など当時の風物を詩情豊かに
舞踊化し市井の賑わいや哀愁が表されます
「都名所」と呼ばれる前ジテの静御前の舞の柔と 大物の浦で義経主従を襲う
平家一門の悪霊後ジテの知盛の剛が対照の見所です


大和楽「四季の花」 藤間新乃 長唄「島の千歳」藤間寿翔礼
桜 あじさい おみなえし 百合 時雨の桔梗 菊など唄い込み
銀世界を彩る寒牡丹で終わります 今回は京風芸者の姿です
白拍子島の千歳が水の由来や淀川入江の水
若水のめでたさを上品で典雅に踊ります


長唄「京鹿子娘道成寺」 藤間新文 長唄「岸の柳」 藤間和宮
古典の代表作の一つ 華麗艶美な舞踊で組唄構成の「くどき」が眼目と言われ
鐘への執念など色々約束事のある演目です
大川柳橋佃節を粋な旋律と後半弁天から両国へ
かけて唄い夏の河辺を涼しげに踊ります


義太夫「伊達女恋緋鹿子」藤間千宮 藤間治宮 義太夫「猩々」 藤間可宮
吉三恋しいお七が禁をおかして櫓の太鼓を打つ人形振りが見所で
恋の為に尽くす娘心を描いてます
酒を汲み酔った赤毛赤衣裳の猩々が波足乱れ足
など音律に会わせて酒を頂く舞です





長唄「雨の四季」 藤間良蔵師 藤間新宮師
隅田川の折々の様を四季の雨に寄せて詠い込んだ曲を素踊で表現します
江戸の風俗描写が豊かに叙情的に描かれ作品で 
藤間良輔先生の代表作の一つです



                藤間流大会 平成二十七年六月


藤間流大会が東京歌舞伎座にて開催されました
2日間にわたり45演目が上演され
藤盛会関西支部の先生方も出演されました


東京 歌舞伎座 



常磐津  大阪めぐり
川如皐師作 常磐津柳介師作曲 望月太明蔵師(先代)作調
藤間良輔師振付で 昭和四十年代に作られました

大阪の名所を巡って 今昔の風物を四季の移ろいにのせて語られた 比較的新しい作品です
高津宮詣 生国魂さんの辻から繰り 堀江の川辺 新町の廓 御堂筋の並木 北浜の取引場
淀川の涼み舟 曽根崎の賑わい 天満祭り 難波江の片葉の芦 喜撰から伊勢音頭
そして降る雪で結ばれます      

              (藤間流大会プログラム解説より抜粋し掲載させて頂きました)



冠門師 兼豊師 豊宏師 扇伯師 良蔵師 新宮師 寿賀洸師



                     第十三回 「新宮の会」定期公演」  平成二十五年三月
                                                                           演目の一部を掲載致します

常磐津 「姥捨の月」   藤間 新宮師  花柳寛十郎師      藤間良輔師 振付


信州長野地方に昔からある「姥捨伝説」を題材にして舞踊化した作品です
舞台は山の麓に来た若い男女が 本に書かれた姥捨ての物語に心を寄せた所から始まります
古くからのしきたりとは云え 老親を捨てる男の心情と 姥の運命に従う覚悟と寂しい心の葛藤を表します
一人山に捨てられた姥が 過ぎ去りし若き日々を想い 子を思い 月に祈る姿は全てを受け入れた清々しさにをも感じます   

長唄  「新曲浦島」      藤間和宮 長唄  「菊づくし」      小坂掛心桜
静寂な海 岩に砕け散る荒波 網引く船頭 漁り火 夕嵐等刻々と変わる
大海の情景を豊かに表現します
古典舞踊の手ほどきに習う演目で 可愛い子供が菊花の精のように
色々の菊づくしを踊ります 
長唄「賤の小田巻」        吉川規尹子 長唄「俄獅子」   任 節子
鎌倉に下った静御前が 義経を恋う心情と頼朝への無念を踊りで表現します  
品の良い道行姿から始まります
廓の禿 恋模様 木遣り 江戸の祭りと華やかな踊りで 獅子の狂いもあり
吉原情緒たっぷりの演目で 酔いながら花道に入ります
清元「傀儡子」    藤間香志久 清元「折紙」  藤間新左      藤間良輔師 振付
三変化舞踊の一つ 街頭芸人が箱の上で人形を操り人々を楽しませるながら街を歩き
 子宝 お七吉三 義経物など登場する 清元独特の洒落た演目です
鶴 雛遊び 舟 兜 奴など昔遊んだ折紙に託して 幼心の数々の思い出を
清元と琴の美しい曲想にのせて踊ります 
長唄「静と知盛」  藤間千宮 常磐津「大阪めぐり」 藤間日女  藤間良輔師振付
新歌舞伎十八番の一つ 義経と静の別れと平家の霊に襲われるよく知られた演目です
前ジテの「都名所」と呼ばれる静の柔 後ジテの悪霊となった知盛の剛との対照が見所です
大阪の風物を今昔にかけて語り 御堂筋 新町北浜 天神祭 大阪城等が
読み込まれています 今回は大阪芸者の形で踊ります
長唄「娘道成寺」 藤間紀良 長唄「たぬき」  藤間新文
安珍清姫の伝説を元に娘の恋の執念を描いたもので 恋の手習いのクドキが
眼目といわれ 色々の約束事のある大曲とされてます
お伽話のたぬきを主題とした文福茶釜の由来を語り カチカチ山のくだりからきこり唄
組長屋のそそり節 軽業 綱渡りの曲芸と楽しい曲目です
清元「子守」  藤間治宮 清元「瓢箪」  藤間新左     藤間良輔師 振付
五節句の変化舞踊から独立して踊られるようになった作品で 
越後から子守奉公にきた若い娘の姿を描いた風俗舞踊として楽しい演目です
南国生まれで日の本に流れ着いた瓢箪が人々に好まれ 酒器や秀吉の千成瓢箪や
舞妓のおもちゃ等親しまれ 老人の酒の友となって月と遊ぶ 誠に飄逸で洒落た踊りです
長唄「供奴」   藤間可宮 常磐津「紅売り」   藤間宮翠
主人の供から遅れた奴が 丹前好みの主人の真似や六方を振ったり
興に乗じて足拍子を踏むなど奴丹前の面影を見せます 
紅を売り歩く女の姿を描いたもので 紅を使う女の人の心情を言い立てて踊り分け
再び次の街を指して過ぎてゆく はんなりとした踊りです

清元「申酉」   藤間新宮師
江戸の大きな祭「山王祭」別名「申酉」を描いた舞踊で 祭の山車の先頭には大伝馬町の鶏 次に南伝馬町の猿が飾られ 豪華な行列が続きます
 都々逸 狐拳 引く物尽くしの歌詞に若い取巻が絡み 華やかで江戸の風情が楽しめる作品です


「新宮の会」 定期公演          平成二十二年三月
                         
                                            演目の一部を掲載致します

                     長唄 「静 と 知 盛」   藤 間 新 宮

歌舞伎十八番の一つ 都落ちした義経と静御前の別れの前ジテは 能形式をふまえ「都名所」を格調高く舞う静と 
後ジテの悪霊となって義経主従を襲う 知盛の亡霊の勇猛な踊りの対照が見所です

            
長唄 「助六」  藤 間 可 宮 常磐津 「廓八景」  秦 希 代 子
吾妻八景八変化の一つ 名刀詮議の為思慕する花魁揚巻のいる
吉原に入った 花川戸の助六(実は曽我五郎)の姿を舞踊化 
助六独特の色気を要求される作品で 今回は素踊りです
吉原の賑わいの中 近江八景の絵を眺めていた傾城が 
その互いの美しい風物をなぞらえた歌詞の巧みさにのって踊り
舞台の背景にも琵琶湖を配し 曲も琴入りの豪華な仕つらいです
                                    
長唄 「藤娘」  藤 間 新 左 清元 「流星」  藤 間 治 宮
大津絵五変化の女性を舞踊化したもの
古典舞踊の中では馴染みの深い曲で 「男心」のクドキのあと
軽快な三味線の藤音頭が入り 恋する娘心を賑やか華やかに踊ります
七夕の夜に牽牛と織姫の逢瀬の所に流星(夜這星)が駆けつけ
雷夫婦の喧嘩を 夫婦 子 婆と次々と踊り分けてご注進する様を
ユーモラスに表現した踊りです 

              
                                                  
長唄 「春興鏡獅子」  藤 間 千 宮 
古典「枕獅子」を九世市川団十郎が改訂したもの
殿様の前で華麗に踊る腰元弥生に 祭壇の獅子頭から獅子の精が乗り移り
胡蝶のあと勇壮な獅子の狂いとなる後ジテまで見ごたえのある大曲です
                            
長唄 「女伊達」  藤 間 明 宮         常磐津 「寿」  藤 間 新 左
女侠客が一本差しと尺八片手に男伊達を相手として凛とした
華やかな立ち回りを見せる歯切れよい所作ダテが楽しめる踊りで
「助六」の母胎となった曲です
        藤間良輔師「作詞 振付」の珍しい作品
  日本の四季折々の風景を織り込み 人々のなりわいを楽しく詠み
 人の世の平安を祈り寿ぐ踊りです 常磐津と琴の音曲も楽しめます
長唄 「京鹿子 娘道成寺」  藤 間 晶 宮
安珍清姫伝説の舞踊化 女性の可憐な恋心と執念を描いて
供養の庭で展開される華麗艶美な踊りから 白蛇となって七重に鐘に絡み上がる
派手やかな古典舞踊大曲のひとつ   
 
常磐津 「紅売り」  藤 間 和 宮 清元 「傀儡師」  藤 間 勘史貴
江戸時代の春の宵紅を使う人々の心情を言い立てながら踊り
次の町を指して紅を売る女の姿を
はんなりとした風情で上品に踊ります
人形を操りながら
三人子持ち お七吉三 知盛など様々に踊り分けて歩く
大道芸人の様を舞踊化 清元独自の洒落た踊りです


                            清元 「申 酉」    藤 間 新 宮師
山王祭の山車に鶏(酉)と猿(申)の飾りを先頭にした事から「申酉」と言われ 今回は芸者に若衆がからみ
お馴染みの「待ってました」の掛け声で華やかに始まり 都々逸や狐拳引く物尽くし等楽しい踊りが続きます


藤間新宮師 主なる舞台出演

16 ・ 2 長唄   たぬき 良寿郎の会 国立文楽劇場
16 ・ 3 長唄   道成寺
義太夫 恋飛脚大和往来
新宮の会・定期公演 国立文楽劇場
16 ・ 8 長唄   船揃 浪花の会 サンケイホール
17 ・ 2 清元   傀儡師 華王会 国立文楽劇場
17 ・ 8 長唄   旅 浪花の会 国立文楽劇場
17 ・ 9 民謡   小曲メドレー 新宮の会・ゆかた会 天王殿
18 ・ 2 大和楽  江戸風流 香華の会 国立文楽劇場
18 ・ 8 長唄   助 六 浪花の会 国立文楽劇場
19 ・ 3 長唄   静と知盛 新宮の会・定期公演 国立文楽劇場
清元   申 酉
19 ・  9 大和楽  三十石夜船 新宮の会・ゆかた会 天王殿
20 ・ 2 清元   うかれ坊主 華王会 国立文楽劇場
20 ・  3 清元   雪月花 志揮城の会 国立文楽劇場
20 ・  7 長唄   旅  昭の会 国立文楽劇場
20 ・ 9 長唄   船揃 藤栄会 国立文楽劇場
21 ・ 3 常磐津  寿 関西舞踊協会 国立文楽劇場
22 ・ 4 常磐津 大阪めぐり
長唄   藤娘
新宮の会・定期公演 国立文楽劇場
23 ・ 8 大和楽  江戸風流 藤盛会 国立文楽劇場
23 ・ 9 民謡   小曲メドレー 新宮の会・ゆかた会 天王殿
25 ・ 3 常磐津  姥捨の月
清元    申酉
新宮の会・定期公演 国立文楽劇場
25 ・ 9 民踊  小曲メドレー 新宮の会 ゆかた会 天王殿
27 ・ 6 常磐津 大阪めぐり 藤間流大会 東京 歌舞伎座
28 ・ 3 長唄   助六
長唄   雨の四季
新宮の会・定期公演 国立文楽劇場